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CROSS×TALK 01

クロストーク 01

KTCとEHIMEMACHINEが取り組んできたこと

KTCのこれまでの歩みや、こだわりについて、木村専務、後藤部長に詳しくお話しを伺い、EHIMEMACHINEとして取り組んできたことを交えながら、今後お客様のためにどうあるべきかということを、話しさせて頂きました。

  • 木村 直人 取締役 専務執行役員

    Naoto Kimura
  • 後藤 和也 国内営業部 部長

    Kazuya Goto
  • 山田 和哉

    Kazuya Yamada
  • 山岡 隆二

    Ryuji Yamaoka

はじめに~KTCのこだわり

  • それではよろしくお願いします。
    エヒメマシンの経営理念、ビジョンなどの情報発信を行えるコーポレートサイトをオープンしようと思っています。その中で、クロストークというコーナーがあり、そのコーナーでは、メーカーさんのものづくりに対する思いや、品質管理についての取り組みなどをご紹介させて頂き、また、弊社でご購入頂いたお客様からのご意見などをフィードバックさせて頂くことで、お客様とメーカーさんの架け橋になっていけるような、そんな対談紹介を行っていきたいと考えています。
    その第一回として、KTCさんをご紹介させて頂きたいと思い、今回の依頼をさせて頂きました。

  • なるほど、興味深い話ですね。
    弊社としても、そのような情報を発信して頂けることはありがたいですね。

  • ありがとうございます。
    では、早速ですが始めさせて頂きたいと思います。
    これまで、KTCさんがものづくりに対して取り組まれてきたこと、歴史などについて少しお聞かせ頂ければと思います。

  • 創業は1950年8月2日、2020年には70週年を迎えます。
    弊社の社是は、「軽くて、強くて、使いよい工具を創り、社会に貢献する」
    戦後のもののない時代は作れば売れましたが、やがて品質の時代を迎え、より高品質なものが求められるようになりました。
    我々はいつの時代も社是にある「軽くて強くて使いよい工具でどのように社会に貢献すれば良いか」を考え続けています。
    そのベースは工具を使う作業や作業環境をより安全、快適、能率・効率的にするためのご提案やお手伝いをすることだと思っています。
    我々営業は、それをどう世の中に伝えていくか、代理店様や販売店様を通じて、正しい情報をどう広めていくかという活動を日々行っています。

    おかげさまで、ハンドツール業界では国内トップ企業と言っていただけるようになりましたが、今後は、自動車アフターマーケットのみならず、航空機や建築などの産業向けの製品開発も行っていきたいと考えています。

    2004年から発売したデジラチェは、自動車以外のものづくりの現場にも広く使っていただける代表的な商品で、その進化系が先日発売した通信型トルク管理ツール「トルクル」です。

  • 産業ごとの比率は、今どのような感じなのでしょうか?

  • 以前は自動車産業向け売上が70%を超えていましたが、今は自動車産業で約半分、自動車以外の産業とホームセンター、DIYで残り半分といったところで、この20年間で売上比率は大きく変わってきています。
    その要因はやはり、デジラチェを中心とする測定工具に力を入れてきたということが大きいと思っています。

  • デジラチェを発売するまでというのは、測定工具の開発にはそれほど力を入れていなかったのでしょうか?

  • もちろんラインナップの一つとして販売していたので、力を入れていないというわけではありませんが、どちらかというと自動車用の専用工具という認識の方が強かったと思います。

  • デジラチェを開発された時は、開発段階から自動車産業以外もを視野に入れていたということだったのでしょうか?

  • そうですね。
    測定工具の売上比率で言うと、自動車のアフターマーケットの比率は低く、自動車以外の産業やものづくりの現場の比率が大きかったので、その大きな市場を狙っていけるものとして開発を始めました。

  • 開発を始められて、実際の製品になり発売するまで、期間はどれぐらいかかっているのでしょうか?

  • 2、3年ですかね。
    やはり製品になるまでには時間がかかりました。
    「トルク管理を全ての人に」というコンセプトでの開発を行う上で、販売価格を下げるという部分が一番難しかったと思います。
    あくまで「デジタル・ラチェットハンドル」。
    ラチェットハンドルが全てデジラチェに変わればいいなという想いだったので、それまで会社で持つトルクレンチから、個々に持たれているラチェットハンドルのような感覚で、個人で持って頂ける工具にするという部分は、ハードルが高かったですね。

  • なるほど。
    やはりトルクレンチという測定工具として販売される以上、何か目安になるという程度の商品を作るのは難しいのでしょうか?
    ラチェットハンドルの延長線上にある商品なら、「トルク管理をアシストするラチェット」というぐらいの精度にすれば、販売価格は下がるのかなと思うのですが。
    例えば、よくお客様からお問い合わせ頂く内容で、「10~60N・m」とう記載があるが、数値はトルクをかけていくと、0からスタートして、1、2、3…という形で増えていくのではないのか?というものがあります。

  • それは出来ないですね。
    表記は0から始まり増えていくのですが、測定工具としての精度を保障できるのはあくまで適応範囲です。
    お客様の判断で目安としてお使い頂くのであれば、勘で締めるよりもはるかに正確だとは思いますが、それをメーカーが推奨するようなことや、トルクレンチとして認定されないような精度の商品を発売するようなことは、測定工具を製造するメーカーとしてはできないですね。

  • 確かにその基準やこだわりを無くしてしまうと、結局何を求めた商品かというのが分からなくなってきますね。

メーカーとしての使命と役割

  • 今、整備業界での一番の課題は「人員不足」です。
    我々は工具を使うことで効率よく作業して頂き、時間短縮を図り、人員をかけなくても作業ができ、かつお客様の顧客満足に繋げるお手伝いができればと考え、「課題解決ブック」というものを作っています。
    この「課題解決ブック」をカタログとは別にシリーズ化して、トルクレンチなどを含めた正しい工具の使い方、こういうところに使って頂ければ時間を短縮できますという勉強会を開催し、特約店様に協力して頂くことで、全国の92,000件ある整備工場様、34万人のメカニックの方に情報をお届けする活動をここ5年ほど力を入れています。

  • 「課題解決ブック」を一般のお客様に配ったり、ご購入頂くといったことは考えられていないのですか?

  • 基本的には考えていません。
    あくまで工具を販売して頂く有力店様向けのテキストという位置づけで製作しており、500円というプライスも付けさせていただいています。

    あとは、よく御社にもお聞きしますが、「今何が売れているか?」という市場が求めているものの情報をキャッチして、必要とされているものを商品化していくということも常に行っています。
    大切にしているのは情報の受発信です。
    その拠点として この「ものづくり技術館」があります。

  • ものづくり技術館には、今までどれぐらいの方が訪れているのですか?

  • ものづくり技術館は2003年にオープンし、約15年間で6万人以上の方にお越しいただいています。

  • そんなに来られているのですか?

  • 工具商様や部品商様などが社員旅行を兼ねて訪れて頂くといったケースや、全国の工業高校生の皆さんが修学旅行の一環として訪れて頂いています。
    また、2018年8月新たに工具マニアの聖地として「nepros museam360°」を設け、ネプロスの全てが分かるミュージアムとして、有料にも関わらずオープン時から多数のお客様にお越しいただいています。

  • 初めて見た時は、大きいなという印象と、これだけの工具を展示されている風景が壮観だなと思いましたが、そのような感想がやはり多いでしょうか?

  • 大体みなさんが「こんなに大きいの?」と仰られます。
    来て頂ければ規模感をご理解頂けますし、国内唯一の一貫生産工場として、そのこだわりなども感じて頂けると思います。
    百聞は一見にしかずなので是非みなさんお越しください。

  • 確かに、実際に見れば一目瞭然ですね。

  • みなさんのイメージの中に、工具といえば兵庫県の三木、東大阪、新潟の三条といったところを想像されますが、京都はそういったところから少し外れていて、京都の工具製造メーカーというのは珍しいと思います。
    上場している工具メーカー4社の中でもKTCは一番後発で、他のメーカーさんは100年を超えるところもありますが、KTCはまだまだ70年です。それでも一貫生産へのこだわりや自動車産業の発展で、ハンドツールではトップブランドと呼んでいただいています。

  • 他のメーカーさんと比べると、販売価格は少し高いですよね。

  • そうですね。
    ただ価格に見合う価値がある商品をご提供させて頂いていると考えています。
    もちろんコスト削減にも積極的に取り組んでいます。
    我々は、お客様にさすがKTCと言っていただく感性価値を共有できる製品を作り続けたいと思っています。

  • こういう情報発信拠点としての建物や、アフターに関する建物の建設には、相当なコストがかかったのではないですか?

  • 単なる企業ミュージアムではなく、全社が情報の受発信拠点となり、見学されたお客様に、「大きな工場だな」「こうして作っているのか」「手間暇かかっているな」などの感想やご意見を聞かせていただくと、ものづくりの現場もお客様の生の声が聞けて非常に励みになります。
    時には身が引き締まるような感覚になることもあります。
    また、社員全員がおもてなしの心を持つようにもなり、コスト以上のものが得られていると思います。

  • 弊社も、例えばカメラマンが出荷業務をフォローしたり、倉庫管理の担当者が受注業務を行ったりと、他の部署をフォローすることで、忙しい時間だけその部署に人員を投下し、無駄に人件費をかけることなく、時間内にしっかり業務をこなし、売上げアップを目指しながら休日も増やすという働き方改革を勧めていますが、フォローの際に他の部署の仕事を見ることで、色々な意識や社内の雰囲気がが変わっていっていると思っています。
    そこに行き着くには結構苦労しましたが、この建物によってそういう効果が得られるというのは大きいですね。

  • 見られる意識というのはやはり大きいですね。
    工場内だけなら身内だけだが、やっぱりお客様が来られるということは、挨拶もせなあかん、身だしなみもしっかりしなあかん、そういう意識が芽生えてくることに意味がありますね。

  • それはこちらに来させて頂くにつれ感じますね。
    最初は、製品のまだメッキをする前の段階のものなら箱の中に山積みになっていたようなものも、だんだん並べて保管されるようになったり、整理整頓がきちんとされてきているという印象は感じます。

  • そうですね。まだまだではありますが変わってはきていると思いますね。
    意識のことなので、そう一気に変わるということはありませんが、継続して行っていくことが重要ですね。

  • そういう継続という意味でも、この建物のおかげで、継続的にお客様が来られているという状況はいいですね。

  • ありがたいことです。
    先月はオープン以来初めて来館者がひと月で1000人を超えました。

  • 1日に換算してもすごい人数ですね。
    小さいWEBショップに訪れる人数よりも多いですね。

  • そう考えるとすごいですね。
    この建物が研修施設としての活用ができるようになったということも大きいですね。
    また、販売店の皆様にも色々な勉強会にご利用頂き、販売している商品を一堂に見て頂くことができますが、弊社の社員でも、自社の製品をこれだけ一堂に見れるという場所は他にはないので、誇らしく思うようになってきているのではないでしょうか。

  • そうですね、弊社の社員も自分達が売っているものが、こうして展示されていることには感動していましたし、もちろんこの規模感を見ても、きちんとした取扱をしないといけないという意識は、ここに来れば強くなるような気がします。

  • 今となっては研修施設としても手狭になってきていて、研修のご依頼をいただいても、部屋が空いていないのでお断りさせていただくことも多々あります。
    そうした問題を解決するために新たに「東日本ものづくり技術館」を関東営業所敷地内に併設して、そこで東部地区の代理店様や販売店様の新入社員研修などを行っており、少しは解消してこれているかなと思っています。

  • 販売店の新入社員の研修もしてもらえるんですね。
    講師とかは常駐しているのですか?

  • 講師は弊社営業担当者が行います。

  • 講師になるための研修みたいなものもあるんですか?

  • 年に二回、北海道から九州までの支店・営業所から全員を集めて行っています。
    様々なカリキュラムを用意しており、最終は経営のコンサルティングの部分まで踏み込んだ話が出来るようになることを目標に取り組んでいます。
    そういった部分までの課題解決を行えるメーカーを目指しています。

  • 以前、研修を行う時には、3S(整理・整頓・清掃)の話しもされているとお聞きた気がするのですが、今でも販売店さん代理店さんに、3Sとかの話もしてくれるのですか。

  • もちろん、それが代理店様、特約店様にとっても経営のベースであり、そういうことを共に行っていくことで、継続的なお取引をより深めて頂けるきっかけになると考えています。

  • 販売店からしても、そんな教育の話までしてくれるのは、とてもありがたいですね。

  • もちろんエヒメマシンさんにも利用して頂けますのでぜひ依頼して下さい。
    御社の営業担当者もそれを行えるスキルを十分に持ってます。

  • 今、海外からの採用など人員を増やしているところなので、ぜひ活用させて頂きます。
    ありがとうございます。

  • パワーポイントで資料も作っていて、見て頂ければある程度わかるようにしているのですが、それをただ読むだけではなく伝えることが重要です。
    伝えるということは難しいことでもあるので、それをしっかり全員が行えるようにすることが目標でもあります。

  • そういう研修や資料作りなどにかかるコストは、莫大なものになりますよね。

  • ただ資料作りをしているだけや、研修をしているだけという意識ではなく、人材育成の一貫としてやっていることという意味が強いので、単純なコストというのとは少し違うと思っています。

EHIMEMACHINEの使命と役割

  • KTCさんの今後は、現在のハンドツールの製造、鉄を使った製造という他に進んでいこうと考えていることはあるのでしょうか?

  • あまり知られていないのですが、メディカル分野にも商品展開をしています。
    インプラント施術にトルクという概念がなかったので、小型トルクレンチを使ったNewton1という製品を商品化しています。
    こういう求められる業界への商品展開も、今後強めていきます。
    単にものを作って売りに行くという意識ではなく、課題解決を行っていくという意識を持てば、営業に行くことに楽しみを感じられるとも考えています。
    それには製品知識が必要になります。
    知識というのは機能と用途。用途の部分まで知識を付けていくことで、お客様の困りごとに対して提案出来ると考えます。

  • そういうKTCさんの活動はメーカーカタログなどでは表現しきれないですね。
    カタログだけでは伝えきれないことを発信していけるようなページを目指しているので、こういう活動を含めた「伝わる」ページになれるといいですね。

  • 情報を取りに行く人なら見て頂けると思いますが、そうでない人にどう伝えるかが難しいですね。

  • もともと私は自動車修理工場様をルート営業で回っていて、一人で情報を広めることに大きな壁を感じていました。
    仲良くなったお客様のところでは滞在時間が長くなり、でも売るものがだんだん無くなって売上が上がらなくなってしまいます。
    新規で回ると最初は滞在時間が短くても、結局同じことになってしまいます。
    そんな中でインターネットに出会い、一度掲載した情報が継続的に、しかも営業で回りきれないほどのお客様に見て頂けるようになりました。
    特定の情報を伝えようとすると難しさはあるのですが、何か一つ気になる商品を掲載していれば、他の商品も一緒に見て頂けるなど施策は色々考えられます。
    そこで壁を超えれた気がして楽しくなり、でももっと伝えないといけないと思い、全ての商品を撮影し、説明文もしっかり書いて掲載するということを地道に行ってきました。
    現在でもそれは継続しており、プロカメラマンを増員することも出来たので更にスピードアップして、クオリティの高い写真や情報を沢山掲載出来るように進めています。
    それがお客様のメリットになると考えています。

  • それがエヒメマシンさんがお客様に受け入れられている理由なんでしょうね。
    そういうほしいと思われているお客様がどんな情報を求めているか、例えばこの製品をこの角度から見たいといったことを真剣に考えているところが、エヒメマシンさんよりもメーカーとして出来ていない部分になるのかもしれないですね。

  • 実際にお客様に販売することでしか得られない情報が販売店にはあるので、そういう情報をメーカーさんにスムーズにご提供することが出来れば、今後エヒメマシン経由で販売することの意義、エヒメマシンが必要とされる理由になってくると思います。
    メーカーさんとお客様の架け橋になることが使命と考えているので、ご協力出来る部分はもっと強化していけるよう、また継続的に協議させて頂ける場を設けて頂けるとありがたいです。

  • メーカーとしては、お客様からのお声が届き難い立場でもあるので、こちらこそ今後ともよろしくお願いします。

  • それでは、本日は貴重なお時間を頂き、また貴重なお話を聞かせて頂き有難うございました。